会えるといいな

そんなはずはないと思っても 『そんなはずはない』という文字が読みにくい

そこだけは自信があったとふてくされても 不得手になったんだ戻れない

遠くを見通せることはなくても 近場ならすいすいすり抜けられるはずだった

いつまでも偽りない景色 一体全体どうしてぼやけた

 

なぜ眉をひそめる なぜ肩がこる なぜ顔を近づける なぜタメ息で画面くもる

さらに見にくくなって まさに読みにくくなって 

苦肉の策で拡大キー押して ドアップなりすぎて椅子からずり落ちる

 

小さいだけで逃げたくなる 小粒が一面染めてるとそっぽ向きたくなる 

ページめくる指先が鋼鉄になり どうやら文庫本は漬物石になって俺の思考に蓋をする

文庫コーナーで眉間を押さえて路上に飛びだす 帰り道を街角の地図で確認しようとしたら 読みとれなくってオールナイト迷子   

それでもイッツオーライと言えるほど もう若くないって認めるよ

 

100均で1度の老眼鏡 レジのお姉さん2リットルのミネラルウォーターとレジ袋の間にそれをスベりこませるのは およしなさい

フレーム破損から救い出すよ ポッケにおはいり今は目を閉じて

100均のプラ製老メガネ 駆けてみる画面はなんだかみずみずしい 

令和元年じゃなくて老眼元年 やっぱり苦情が来そうだから令和に戻してやる

俺の視界にも調和が戻りそうだ やった!

レンズの端のほうグニャグニャ異世界忍びよってるけど ぴったりのレンズゲット出来るまで ふらついてないでフレーフレー ムムムって気合い入れながら頑張っていこう

 

文字とか見づらくなったけど メガネ選びの楽しみ出来たとか 

強がれたら違う景色に会えるかな 会えるといいな