秋って こんなだったっけ

紅葉を見てない まだなのか手遅れなのかよく分からないけど紅葉を見てない

銀杏並木をくぐってない 11月も近いのに半袖半パンで家の中だからなのかそりゃそうだけど外あるいても 銀杏並木に抱っこされながらほくほくしてない

 

読書もろくにしてない 本なんて読まなくてもいいんだけど指先かじかんでページめくれない冬じゃないのに 眠気が深すぎてすぐに栞を挟んでしまう春にジャマされてないのに 栞が熱波にやられてヨレヨレの一反木綿になって飛んでいく夏でもないってのに本を読んでないこのごろは身軽なようでひどく窮屈で

 

運動会を見かけるけど 全力ダッシュで近づいたりしない 怖がられるからね

ドリブル勝負の二人組の子供から転がってきたボールを 妙なトラップで止めても 奴らはそんなことに気づかずさらなる暴走抜きあい大会 参加出来そうにないね

草野球チームのノック練習キャッチ&送球一塁へ無茶苦茶巧い 俺はそれを横目にスーパーに惣菜買いにウォーキング&食った後加速するメタボリック 非常にマズい

公園抜けたら一般道でも朝からランナー ガッツなスパーク繰り広げる姿 異常に眩しい

 

なんか季節外れでどうやら仲間外れででもそれは自業自得な俺は 惣菜食いながら食欲だけはフル充電するはずが 冷蔵庫の調子が怪しくて賞味期限に追いつかれ品質保持期限切れで失神して 満腹ではあるけれど万々歳とはいかない寒気に抱きつかれ どうやらこの季節の名前を思い出せずに冬支度にいそしむいささか嘆かわしい11月が近づいた力ない夜の独白もうあきあき

 

もう少し芸術的な名分でも書けたら ほんの少しはこの季節の思慮深さに振り返ってもらえたかな 

深まる色 躍動する体 疾走する脳 桁外れの胃袋 夏の暑さに耐え 冬の寒さの到来をなだめ 春ほどあわただしくない うなずきあえる季節

温度で自己主張しない 新歓コンパや忘年会で騒ぎすぎない 動きやすいしすごしやすい かといって待ち受ける梅雨に憂いを注ぐことなく空が少し高くなるような 木の年輪を急にはっきり感じ取れるようになれそうで 自分の年齢なんか気にならなくなりそうなおだやかな 

太った人もこれから厚着できるからごまかし許してくれそうな 

もう少ししたら受験も本格的だから ほんとつかの間息をつけそうな

でそんで 冬とか来て卒業式の前に 好きな人のこといくらでも眺めておけそうな

でもその前に 読書のなんちゃらだから読んだ本の名文かき集めてその人にラブレター贈って 玉砕したら恥ずかしさは銀杏並木の底にでも隠せばいいさ

 

秋らしいことしてないな なんか秋らしくないもんな でもなんだか この季節の名前思い出せたみたいなんで今夜はここらへんで 冬でもないのに凍えそうな文章もうやめて